立命館大学新聞社
ニュース

「署名はエクセル」不正防げず 推薦人不正問題 再選挙「人材不足」で断念

昨年5月投票の自治会役員選を巡り浮上した、文学部自治会委員長立候補者による推薦人名簿の水増し疑惑。候補者自身に表計算ソフト「エクセル」で推薦人の氏名を入力させ「推薦署名」として扱うなど、不正を防げない選管委の不備が露呈した。(小林)

https://ritsumeikanunivpress.com/03/07/21072/

「十分な人数の推薦が集まっているか、推薦人名簿を見て、確認しましょう」

マニュアルによると学部選管が確認するのは、推薦人の人数と推薦人が他の役員に立候補していないかだけ。同意の有無は確認できず、選管委は不正の可能性を見抜けなかった。

推薦人名簿のエクセルファイル

中央選管委員長は、疑惑浮上後の昨年8月に作成した前半期総括で「公正公平な選挙運営を実現する」という目標の達成度を5段階中の5と評価した。

「選挙管理委員会として、公正な立場で選挙を運営することは当たり前のことです。落選だった人を当選にするのはあってはならないこと。選管いなくてもいいってなっちゃいますから」

◇ ◇ ◇

男子学生が罷免されたのは12月。複数回にわたる自治会の働きかけに男子学生は一切返答せず、自ら辞意を示さなかった。

規約では、辞任した場合は1カ月以内に実施する再選挙で後任者を決める必要があるが、残り任期半年未満の場合、次の定期選挙までを代行の者が務められる。

結果的に、再選挙が不要になるまで体制が維持されたことになる。

文学部自治会の関係者は「理想は速やかな再選挙実施だったが、慢性的な人材不足で余裕がなかった」ため断念したと打ち明ける。

7月は学生大会や五者懇談会が最優先事項、夏季休暇中の8・9月も非現実的で、11月からはゼミナール大会や学園祭、中央委役員選があった。

10月の再選挙実施を検討したものの「公正公平な選挙を実施するには、準備を含め1カ月では足りなかった」。

委員長の業務は2人の副委員長が代行し、業務上の不都合は起こらなかったとした上で、関係者は強調する。

「自治会の業務が一段落ついた12月が、けじめをつける最後の機会だった」

また関係者は再選挙が実施できたとしても「代わりに委員長選に立たせる執行委員がいない」と現実を吐露する。

自治会では、自治会役員選に向けて執行委員の間で候補者調整が行われることも多い。「やる気のある人がいるかはその時々。いなくても最適解を探すだけ」が実態だ。

昨年4月時点で、2回生の執行委員は2人のみ。他の執行委員は自治会や他の中央パートで役職を務める関係などから立候補しないことを決めており「どちらかが立候補せざるを得ない状況だった」(関係者)という。

◇ ◇ ◇

選挙規程は、委員長に立候補する場合、立候補する学部の全有権者の30分の1の推薦署名を集めた推薦書が必要と定めている。50人以上になる場合、必要数は50人とされる。

「正直多いと思った」。ある学部の自治会で委員長を経験した男性は、立候補締め切りの直前まで「なりふり構わずお願いして(推薦人を)必死に集めた」と振り返る。

他学部で委員長だった男性は「選挙に誰も興味がないし、意味を見出せていない。他にやりたい人がいないから、やってくれる人に『どうぞ』するだけだ」と、選挙が形骸化している感覚を語る。

実際、自治委員選・自治会役員選の投票率は低いままだ。

本紙が独自に入手した資料によると、不正のあった25年度、文学部における投票者数は、有権者数4500超に対して450程度。1回生約380人(投票率34%)に対し、2回生約30人(同3%)、3回生と4回生以上はそれぞれ約20人(同1%)に留まった。

立候補に必要な推薦人50人は、投票総数の1割強に相当する。委員長経験者の男性は本紙の取材に本音を打ち明けた。

「推薦人名簿は足切りのシステム。形だけで、そんなものに価値はない」