[社説]高市自民圧勝 教育無償化に向けた議論を
真冬の超短期決戦となった衆院選。「国論を二分する政策」に取り組むと高市首相は主張したが、その具体的な内容は見えてこなかった。論戦が十分に尽くされたとは到底言いがたい。
選挙戦を通じて、教育や文教政策に関する議論は後退した。前回の衆院選の際には「高等教育の無償化を大胆に進める」としていた自民党も、今回は「公教育の質向上改革」にとどまった。
経済協力開発機構(OECD)の報告書によると、日本の公的な支出のうち教育費が占める割合は8%で、OECD加盟国37カ国の中で4番目に低い。高等教育の在学者1人当たりの公的支出は平均の半分に過ぎない。
日本が1979年に批准した国際人権規約は、高等教育への平等な機会を求め、その手段として漸進的な教育の無償化を明記している。教育の無償化は、国際的な責務だ。
学生の生活は苦しい。物価高や奨学金の金利上昇のほか、全国の大学で学費の値上げも相次いでいる。全国大学生活協同組合連合会が2月に公表した学生生活実態調査の結果によると、貸与型奨学金を利用している学生の約7割が返済等に不安を感じているという。
学費の値上げは、無償化への流れに逆行する愚行だ。大学経営が厳しい中で、政府に求められるのは、教育への公的支出の大胆な拡大だ。
高校の無償化が本年度から始まる。朝鮮学校が差別的に除外されるなどの問題はあるが、無償化自体は評価したい。高等教育への拡充を求める。
最近の排外主義的な政策は目に余る。政府は昨年、博士課程の学生への支援制度において、生活費の支援を「日本人」に限定した。留学生の学費値上げも相次いでいる。研究には国際的な協働や多様性が不可欠だ。排外主義的な政策は日本の研究力の低下を招く恐れもある。
衆院選後も各党には、教育の無償化に向けた丁寧な議論を期待する。