立命館大学新聞社
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[憲章をよむ]立命館の未来、過去の歴史あってこそ 河音琢郎さん

かわね・たくろう 経済学部教授(財政学)。2025年度立命館大学教職員組合執行委員長。本学経済学部出身(1990年卒)

立命館憲章改正案の修正案は、当初の改正案から随分修正され、一定前進したのだと思う。だが手続きに重大な問題がある。常任理事会主導の一方的な手続きになっており、議論が尽くされていない。憲章で民主的な運営をやるといいながら、憲章自体の議論のプロセスが民主的でない。

河音さん

今次の改正案の修正案に関する文書に、常任理事会は教職員組合と懇談の場を設けることを文書で明記している。だが今日ここに至るまで組合に一切話はない。要請文を出したが音沙汰がない。

全構成員自治は、立命館の伝統で、憲章のスピリッツ(精神)だ。その全構成員自治が今、変わってきていることに危機感を感じている。

「民主的」には二つの側面がある。一つ目は、一人一人の声を聞く直接民主主義。しかし全員の声を総意にしないとものごとは進まない。そのために二つ目の間接民主主義がある。学生の代表は学友会、院生の代表が院生協議会連合会ならば、教職員の代表は教職員組合だ。

民主的な運営の根本は全学協議会にある。立命館大ではこれまで、全学協議会を協議機関として▽常任理事会▽学友会▽院生協議会連合会▽教職員組合▽生活協同組合(オブザーバー)――が、皆が自由に参加できる公開の場で議論してきた。憲章を改正するというなら、全学協議会の場を設けて地に足ついた丁寧な議論をすべきだろう。

『学園通信特別号』をつくり全構成員に丁寧に説明を尽くし、根本の意味を理解してもらったうえで、どうあるべきか議論する基礎を作る。それが法人の責任だ。そうした丁寧なプロセスで皆に説明し、学ぶことが議論の出発点になるだろう。

そのためには理事会だけでなく、全学協パートもしっかりと動いていかないといけない。教職員組合は教職員全体、学友会や院生協議会は学生の声を吸い上げる必要がある。

そうした議論を尽くした上で、皆が変えようと思うなら総意として変えてもいい。しかし憲章は礎だ。いま立命館にいる人だけのものではない。これまで立命館に関わって社会に出ている人々からも納得してもらえるような憲章であるべきだろう。

憲章の改正にあたっては、なぜ憲章ができたのか、文言のなりたちや、どのように憲章を作ったのか、込めた思いを共有することが欠かせない。単に修正案を示すだけでは不十分だ。

立命館がどんな大学で、どのような過程をたどって今に至るのか。憲章には私たちが拠って立つ土台である。

立命館の今後の方向性については、いろんな意見がある。だが、どこに向かうかを議論するには、過去の歴史について一致した視点を持つことが必要だ。

教育・研究全てにおいて憲章は無関係ではない。どれも憲章が土台になっている。「軍事研究をやらない」ことも、憲章に基づいている。それだけ重く、意味がある。

戦後80年の今年、憲章改正は新聞などで全国的に取り上げられた。それはスキャンダルとして取り上げられた訳ではない。憲章に良いところがあるからこそ、取り上げられたのだ。それだけの価値が、憲章にはある。

(聞き手・小林)