社会課題と向き合い60周年 産業社会学部で記念式典
産業社会学部60周年の記念式典が11月22日、京都市上京区の京都ブライトンホテルで開かれた。1期生から現役生までの約120人が集まり、卒業生は学部の歩みを思い返していた。
1期生から現役生まで集まった記念式典の会場=11月22日、京都市上京区産業社会学部は、さまざまな学問分野を横断して現代的な社会課題に向き合う学部として、1965年に設立された。学部によると、本年度までに卒業生は4万人超に上る。
産業社会学部長の黒田学教授(1987年卒)は、記念式典のあいさつで「産業社会学部は平和で民主的な社会の構築を目指し、その役割を果たしてきた。対立や分断が煽られる中、互いの尊厳を尊重し、誰も排除されない包摂的な社会の構築に挑む」と話した。
森島理事長は自身も産業社会学部出身だと紹介した=11月22日、京都市上京区祝辞で森島朋三理事長(86年卒)は「産業社会学部は、何を勉強したいのかをじっくり決めたい高校生や学生を受け止める学部だ」と評価。仲谷善雄学長は「60年の歩みは、次世代研究大学の実現や創発性人材の育成という立命館が目指す方向性と合致している。牽引(けんいん)役として期待している」と話した。
祝辞を述べた仲谷学長=11月22日、京都市上京区
学生時代を思い返しながら祝辞を述べた古谷会長=11月22日、京都市上京区産業社会学部の1期生で、産業社会学部校友会の古谷寛会長(69年卒)は、学生時代を思い返し「(設立当初)学生運動真っ只中で、学びの環境ができていなかった。学問をしたい、学びたいという気持ちが、産社の礎になっているのではないか」と振り返った。
産業社会学部自治会の委員長としてあいさつに立った辻井さん=11月22日、京都市上京区学部生を代表してあいさつした産業社会学部自治会の辻井亨委員長(産社3)は、校友を前に「多様な課題に真摯(しんし)に向きあい、学びを通じて解決に挑戦できる場であると日々実感している」と伝えた。
産業社会学部の今後の在り方に言及した市井教授=11月22日、京都市上京区本学大学院社会学研究科長で、産業社会学部創設60周年事業委員長の市井吉興教授は「60年の歩みの根底には、社会の複雑さを理解し、人間の可能性を信じる独自性が確かに息づいていた。人々の生活と社会の未来を見据えた研究教育を推進していく」と謝辞を述べた。
■麻雀、講義ノートの思い出も
式典の後には、校友によるパネルディスカッションが開かれた。黒田教授(87卒)や神戸新聞社の梶岡修一社長(88卒)、千葉県市川市の高木秀人教育長(96卒)は、「『未来に生きる』知と挑戦」をテーマに、卒業後のキャリアや今後の期待を語った。
「講義ノート屋」で笑いを誘った梶岡さん=11月22日、京都市上京区学生時代を振り返り、高木さんは「団塊ジュニア世代は、一浪、二浪が当たり前。年上から麻雀、お酒、パチンコも教わった」と笑顔。梶岡さんが「テスト前になると必ず東門を出たところの……」と講義ノート屋を示唆すると、会場は笑いに包まれた。
高木さんは卒業後、立命館第1号として文部省(当時)に入省したという。文部省では学校と地域が連携する取り組みがライフワークになり、地域社会学を研究していた高木さんにとって「天職だった」と話した。
自身のキャリアを語る高木さん=11月22日、京都市上京区梶岡さんは今後の期待として、「情報空間が危うい状況にある。正しい情報を出し続けていく人材が出てくることを願うばかりだ」と期待。高木さんは、「地域と共に子どもたちを育てていくマインドを持った小学校教員を育ててほしい」とした。
障害者福祉の視点から産業社会学部に期待を述べる黒田教授=11月22日、京都市上京区黒田教授は「学生たちが障害のある同じ年代の人たちと語り合えるような大学になってほしい。排他的な状況の中で、誰をも取り残さない社会構築を目指してもらえれば」と話していた。
(小林)