[社説]学術会議改組 政府の介入は許されない
日本学術会議を特殊法人へ移行させる法律が来年10月に施行される。新法では、政府の介入を可能にする仕組みが随所に設けられている。政府は介入を慎み、学問の自由を保障すべきだ。
学術会議は、先の大戦で科学者が戦争に協力したことへの反省から、1949年に政府から独立した「国の特別の機関」として設立された。国内の科学者を代表して、国に提言や勧告を行う。
そうした経緯から学術会議は過去に2度、軍事研究は行わないとする声明を発表している。2015年に始まった防衛省の研究助成制度に対しては、過去の声明の継承を確認する声明を出した。
そのような中で20年に起きたのが、菅義偉政権下での会員候補任命拒否問題だ。従来の政府答弁を覆し、本学教員を含む6人の任命を首相は拒否した。6人は集団的自衛権を巡る問題などで政府に異を唱えていた。
なぜ任命を拒否したのか、説明責任を脇に置いたまま、自民党と政府は学術会議改組の議論を始めた。議論の過程で改革案を示すよう迫られた学術会議が、立法事実の明確化を求めたのは当然だ。
新法では政府の介入を招く仕組みがいくつも設けられる。 中期計画の策定・変更時には首相が委員を任命する評価委員会の意見を聴かなければならない。首相が任命する監事による監査も受ける。
人事も心配だ。会員候補の選定を行う候補者選考委員会の発足時の委員は、首相が指名する有識者と学術会議会長が協議して任命する。なぜ発足時の会員選定に政府が関わるのか、理解に苦しむ。
政府は産業や軍事研究に学問を動員する動きを強めている。学術会議の改組はそうした流れの延長線上にある。
政府の干渉は自由で健全な学問の発達の妨げになる。その前面に立つのが学術会議だ。自由な研究ができなくなれば、私たちが受ける教育も変質してしまう。政府の介入は決して許されない。